2007/3/12 月曜日

その平板スピーカー

Filed under: プロローグ — migimimi @ 0:44:23

 その平板スピーカーを発明し、たくさんの、本当にたくさんの試行錯誤を繰り返しながら、このスピーカーの巣立ちを夢見ている奥田さんは磁石の専門家です。 その磁石のスペシャリストである奥田さんが静岡県浜松市で創業した会社が株式会社プロトロです。 

 

 私が興味を持って、いろいろな形で組み合わせ、コンサートなどで使ってみたスピーカーのメーカーです。 コーンスピーカーとは違って、改良したり試作するのに大きな設備が必要ないことから、いろいろな形の物を作ることができ、用途に合わせて試作することができます。

 

 その中でコンサート用ではなくもっと身近で毎日使える様な形にもアレンジして見ようと思い、小さめのユニットに適当なスタンドを付けて使ってみました。 歪みの少ない中高音の音色は本当にすばらしいものがあります。 それだけでも価値はあると思いますが、大抵の人は低音が足りないと言うだろうと予想できました。 また、平らな物をどうやって立てておくのか、どんなアンプを使えば良いのかなど沢山の問題があって、私だけでなくこのユニットに興味を持った人たちに更にいろいろな試行錯誤の機会を与える結果となっています。 実際プロトロのホームページを見て興味を持ちサンプルを買って、それぞれの用途に、あるいは好みに合わせようと更なる試行錯誤を繰り返している個人や企業が結構多くある様です。 低音を出すためにボックスに入れようと考える人、コーンスピーカーのサブウーハーと組み合わせようと考える人などいろいろですが、私の考えはもっとストレートなものです。 

2007/3/10 土曜日

最初の出番

Filed under: プロローグ — migimimi @ 0:40:56

 「”その薄い平らなスピーカー”をこんどのコンサートで使ってみようか?」。ある人がそう行ってくれました。 2003年11月1日、2日と、浜松市北区都田にある カクトロコ (サボテンと多肉植物を売っているお店)でコンサートが行われました。

 

 試行錯誤の結果、体育館の様な大きなお店兼温室を音で満たすことができました。そこで演奏してくれた皆さんから「お客さんに向けて出ている音がそのまま演奏者にも聞こえるので、すごく安心感がある」と好評をいただきました。 写真はスピーカーの置き方を写していますが、地面に直に置いてあるユニットは「音場支援用」つまり響き専用です。 また写っている歌手はシンガーソングライターの 泉谷むつみ さんです。 

 

 

 

 

2007/3/9 金曜日

平板スピーカー

Filed under: プロローグ — migimimi @ 0:38:09

 その「ある薄いスピーカー」のメーカーは、様々な平面スピーカー的なものの中で、その独自性を主張する為に、それを「平板スピーカー」と読んでいます。 これはコンデンサースピーカーに匹敵するぐらい全面を均等に駆動することができます。 このスピーカーの構造は限りなくシンプルで余分なものがほとんど削ぎ落とされていて、その構造がシンプルが故に物理法則による現象がいとも単純に再現されます。 例えば裏と表が全く対等でどちらでも同じ音がするため裏と表の境目、つまり振動板の延長面の上では音がキャンセルされほとんど聞こえません。 また高い周波数は振動板の面と同じ形のまま広がらず、直進して伝わり、ほとんど減衰しません。 低い周波数は裏と表で打ち消し合って遠くには飛んで行きませんが、振動板の近くでは十分低い周波数までちゃんと再生しています。 まだ色々ありますが、良くも悪くも、かなりはっきりとした特徴があります。 このスピーカーを扱うには、今までと発想を変える必要があります。 兎に角、大きな面全体を駆動できるスピーカーなのです。 それを開発したベンチャー企業は、なんと私の住んでいるところのすぐそばにありました。 これもまた何かの偶然でしょうか? 

2007/3/8 木曜日

平面スピーカー

Filed under: プロローグ — migimimi @ 0:33:19

 長い間作り続けられ改良されて来た、いわゆるコーンスピーカーの構造は確かに良くできています。 しかし一方でコンデンサースピーカーの歪みの少ない音もまた魅力的です。 そのイメージのせいなのか開発者も平面駆動的なものにあこがれ、いろいろなタイプの「面を駆動するスピーカー」を製品化して来ました。 振動板に渦巻き状のコイルを埋め込んだヘッドホーンとか、四角い振動板の数カ所にボイスコイルが取り付けられ同時に駆動するタイプのユニットを使ったスピーカーシステムだとか、板に加振器を付けたものも平面スピーカーの一種として扱われたりしました。 どうも外形が薄いものが平面スピーカーだと思われて来た様です。  しかしコンデンサースピーカーの様に全面を均等に駆動する本来の意味での平面スピーカーは他にはあまりありませんでした。

 

 また昔の話ですが、中学生のころ真空管アンプの信号の乗った高い直流電圧を、そのまま薄い銅板に加え、もう1枚の銅板をアースに繋いで、その2枚をノートに挟んで音が出たと言って遊んでいたことがあります。 その後、それとは別に薄いプリント基板にボイスコイルを作り、同じ形のパターンで電磁石を作れば平面スピーカーができるのではないかと考えたことがありました。 その時は机上で考えただけでした。 多分そう簡単にはできないだろうし、大きな音も出ないだろうと思っていました。

 

 ところが、数年前、正確には 2001年の秋頃、たまたま「ある薄いスピーカー」を手にして音を聴く機会がありました。 その時の印象は「音が出る」でした。 ピンクノイズを再生して聴いた音は、ジュルジュルと言った感じで、変調の掛かったピークが気になり、正直そのまま聴ける音ではないと思いました。 周囲にいた人もほとんど音に対する評価は良くありませんでした。

 

 しかし、私のそれまでの経験から興味はあらゆる方面にイメージを膨らませ、そのスピーカーの音が良くなることが必要条件となりました。 ここから話は一気に現在へワープします。

2007/3/6 火曜日

音での遊び

Filed under: プロローグ — migimimi @ 0:37:12

 高校1年のころ、秋葉原のジャンク屋でコンデンサーマイクユニットの安いものを2個買って来て、使わなくなった自転車のフレームを鉄ノコで切ってパイプ状にしその中にマイクのユニットを入れて、手製のマイクを作って楽しんでいました。 それで何をしていたかというと、マイクで拾った音をそのままヘッドホーンで再生し、マイクを左右の手に1本ずつ持って、拾った音を聴きます。 そうすると臨場感のある音がするのですが、数メートル離れたところの音を拾って聞きながら、左右のマイクを10センチぐらい前後にずらします。左のマイクを右のマイクより10センチ、20センチと前に出すと、ヘッドホーから聞こえる音の位置はどんどん左により、逆に右を前に出して行くと音のする方向はどんどん右に寄って行きます。 数メートル先から来るの音の大きさが10センチ前後の距離の差でそう変わるはずが無いから、これは時間の差で音の方向が変わるのだ、と発見して喜んでいました。 

 

 この時は30年後に仕事でバイノーラル音を合成する装置を作っているとは、当然思いも寄りませんでした。 どうも昔から立体的な音場とか音像に潜在的に興味があったのでしょう。

 

 ちなみに「バイノーラル音を合成する装置」 に興味を持たれた方は、RSS-10 を検索してみて下さい。

2007/3/5 月曜日

ステレオ

Filed under: プロローグ — migimimi @ 0:30:29

 私が小学校に入るか入らない頃、NHK AM ラジオの第1放送(左チャンネル)と第2放送(右チャンネル)で実験的に立体放送(ステレオ放送)をしていたことがありました。一つの部屋のラジオで第1放送を受信し、もう一つの部屋にあるラジオで第2放送を同時に受信し、両方のラジオから同じぐらいの音量で音を出し、部屋の境目あたりで聞くとパッと広がった音が聞こえたことを覚えています。

 

 少し後には東海大学が通信教育を名目にFMの実験放送をしていました。通信教育以外に音楽番組などが流され、時報の後にはチャンネルのチェックの為に左チャンネル、右チャンネル、センターとアナウンスが入りながら音楽だったかオルゴールだったか(記憶が定かではありませんが)流され、ステレオとは左右違う音がするのだと刷り込まれていきました。 そして2つの違う音が同時に鳴らせるということが強調され、デモレコードの中には、左チャンネルがジャズで右チャンネルがクラシックなどというものがあったり、左右への移動感を強調したものなどいろいろありました。しかし、左右の相関を活かし広がりのある音場を再現しようとしたものはあまりありませんでした。

 

 因にステレオとは正確には2チャンネル以上もステレオで、今では、5.1chステレオ、マルチチャンネルステレオなどという言い方をします。

2007/3/4 日曜日

定格入力

Filed under: プロローグ — migimimi @ 0:28:26

 またP610の話になりますが、 その定格入力は確か3ワットと書いてあったと思います。 3ワットと聞くと今の人はそんなに小さいのかと思うかも知れませんが、そのくらいの値を表示することは全く理にかなったことだと思っていまさす。 スピーカーの構造は基本的には昔も今もそう大きな違いはありません。 1ワットも入れたら相当大きな音がします。 仮に能率が 86dB/Wm のスピーカーに1ワットを加えたら1メートルのところで測定すると86デシベルの音圧があると言うことです。 ホームに電車が入ってくる時の音の大きさを想像してください。 1ワットを入れたら大体そのくらいの大きさの音が出ます。 また1ワットでも数十ヘルツの低音の振幅は限界に近くなりそれ以上入れても歪みが多くなるだけです。

 

 昔は各社どう言う基準でスピーカーの定格を決めていたのか分りませんが、最近のスピーカーの定格はそれ以上入れると壊れる値と理解すれば良いと思います。 つまりアンプのパワーはスピーカーの定格入力と同程度までにすべきということで表示する値が決まっています。 25年ほど前スピーカーの定格表示が変わったのですが、 当時の EIAJ のあるワーキンググループで、スピーカーの定格表示の基準の研究の為に各社から人が集まってスピーカーの耐久性を計る為に、ピンクノイズを加えてどのくらいの時間でどう破壊するか実験をしました。今から考えるとなかなか滑稽な風景ですが、普通の会議室の様なところに各社のスピーカーを並べて一斉に大音量のピンクノイズを鳴らし、その中で参加者が耳栓をして様子を見ながらうろうろしていたことを覚えています。

2007/3/3 土曜日

スピーカーボックス

Filed under: プロローグ — migimimi @ 0:27:23

 P610 の様なユニットの能力を最大限に引き出すためには、かなり大きなボックスが必要です。当時でも確かユニットの説明書には指定箱と言うのが書いてありました。それは70リットル近いもので、とてもせまい家に置ける様な物ではありませんでした。

 

 最近のスピーカーユニットの多くは、磁石を強くし大きな入力に耐える様に(つまり高熱に耐え得る様に設計し)小さな箱の小さな体積の空気を無理やり圧縮伸張する様に作られたものが多いのですが、当時はその様な物はまだあまり無く大きな箱でゆったり鳴らすものが主流でした。その一方でAR(Acoustic Research)が、本棚に乗せられるというブックシェルフタイプの比較的小型の密閉箱のシステムを発売していました。これはこれでしっとりとした艶のある音がして弦楽器などが奇麗に聴こえたことを覚えています。その後はオーディオブームの中でいろいろな形式のボックスが紹介され、話題に事欠きませんでしたが、どれも比較すれば違いは分っても絶対的な善し悪しの判断をできるものではなく、オーディオマニアに永遠の課題を提供することになりました。ちなみに私は自分はオーディオマニアだとは思ったことはなく、主眼をコンテンツに移し「生録」に向かいました。

 

 

2007/3/2 金曜日

P-610

Filed under: プロローグ — migimimi @ 0:23:10

 時代は前後しますが、小学校5年生の誕生日に、ダイヤトーンのスピーカーユニット P610 を1個買ってもらいました。 今では P610 と言えば、それは合い言葉の様なもので、それが分る人と言うだけでその人の環境や歩んで来た道がある程度想像できてしまうところがあり、また逆にそれだけ当時としては意味のあるものでした。 P610がどれだけ愛されていたかは別として、それはただの口径16cmのフルレンジのスピーカーユニットでした。

 

 この16cmユニットは大きすぎず、また小さすぎず、低音から高音までほどよくカバーし、これ1本で結構良い音のするユニットで、人間が聴くことの出来る周波数の大部分をカバーできるところに大きな意味がありました。 1本のユニットでカバーできる周波数の帯域は普通それほど広くありません。 低音を出そうとして口径を大きくすると高音が汚くなり、高音をきれいに出そうとすると口径を小さくしなければならず低音が出なくなります。 そこで2ウエイ、3ウエイと数を増やし、そのユニットの「良いとこ取り」をして組み合わせて使おうとい方向に行くのですが、だんだん音像がぼけていきます。 そこで P610のように1本でほど良く広い可聴帯域をカバーしてくれるユニットの方が結果的には良かったりします。 2ウエイ以上にする場合同軸構造にする方が音像がぼけなく、その意味でタンノイも結構好きでした。 ちなにみ今でもインターネットで P610 を検索するとびっくりするぐらい沢山のコンテンツが見つかり、多くの人が見果てぬ夢を見続けようと日夜努力されている様子を見ると思わず顔がほころびます。

2007/3/1 木曜日

ずっと昔の話

Filed under: プロローグ — migimimi @ 0:00:22

 今から40年以上前、オーディオ機器がまだ多くの人々に関心をもたれていたころの話です。 東京晴海で行われた国際見本市のパイオニアのブースで、壁面のひとつを結構大きなボックスのスピーカーで埋め尽くし、それを背に受付カウンターが作られていました。 片側30本(横長に置いて5段x6列で30本)、LR合わせて60本のスピーカーで埋め尽くされた壁から、ティファナブラスの Taste of Honey が流されていたのを覚えています。 それ以来あの様な壁一面にスピーカーを配置する様なセッティングには一度も出会ったことがありません。 

 

 ところで、私の広い面積から発せられる音への潜在的なこだわりから、その幾つか製品化されたコンデンサースピーカーに興味を持つことになりました。秋葉原ヤマギワ電気のオーディオコーナーにスタックスやQuadのコンデンサースピーカーなどをよく見に行きました。しかし学生には高価過ぎたことと、打楽器系の音の迫力にはちょっと物足りなさを感じたことも確かです。弦楽器の音はとてもきれいで透明感が有ったことをはっきり覚えています。

 

 

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